なばたけ農場

なばたけ通信

2013/04/ 8

●野に咲く花

低気圧がもたらした春の嵐に見舞われ、しまいかけたストーブに灯油を入れ直すほど肌寒さを覚える中、稲の育苗に向けての作業を始めた。
先ず苗代の準備。 苗代とは稲の種籾を播いた苗箱を並べ育てる場所のこと。育苗のポイントは水分が多くなり過ぎないようにすること。根の張りを良くするためだ。そのため苗代の周りを溝を切り、排水を良くすることは重要な作業となる。約600枚の苗箱を用意し、それを並べていく苗代には60mの溝が3本必要となる。スコップを使い手作業で進めていく。一回で掘れる溝の長さは当然スコップの幅長。延々と続く地道な作業だ。切りの良さそうなところに目標をつけそこまで行ったら、あるいは100回掘ったら休憩にしようなどメリハリをつけてやっていくほかない。
そんな単調な作業を紛らわせてくれるのが小鳥の鳴き声や野に咲く花である。オオイヌノフグリもその一つ。農道や畔など、あちこちで見ることができるが元はというと帰化植物で、在来種のイヌノフグリをほぼ追いやってしまった。フグリとは睾丸のことでイヌノフグリとは要するに犬のきんたまということ。青紫色の可憐な花には似つかわしくない不名誉な名前の理由は果実が犬の陰嚢に似ているからだそうだ。
“今、君が踏んでいるのがオオイヌノフグリ”(NHKラジオ第一 文芸選票)

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