なばたけ農場

なばたけ通信

2012/10/19

●有機小麦栽培(種蒔き)

6月の畑の開墾から始めた小麦栽培も今日種蒔きを終えとりあえず一息ついた。品種は“ナンブコムギ”と福井県立大学の村井先生が育種した“県立大3号”。用途は共に製パンに。また南部小麦は今後乾麺の加工を考えている。
国産有機小麦を栽培していることはかなり無謀だといっていい。
一つは収穫が梅雨と重なり刈り取り時期を逃す可能性があること。二つめは販売に関して。仮に小麦の製粉をお願いすると約100円/1kgの加工賃がかかる。それに加えて肥料代、機械の償却費、他諸々の費用など計算すると小麦粉の価格はどうしても900円/1kgとつり上がってしまう。この価格の小麦粉を購入してくださる消費者を開拓するのはなかなか厳しい。
それでも国産有機小麦栽培にこだわるのは、就農前に和歌山県那智勝浦の白水家で約3ヶ月の農家研修をさせてもらった影響が大きい。http://blog.goo.ne.jp/colocololand
紀伊山地の山深くにある色川地区は農業よりもむしろ林業が盛んであった。御多分に洩れず、過疎化、高齢化によって 林業もほそぼそとおこなわれている。そんな色川はIターンで移住を希望する人達が多いことで知る人ぞ知る地区である。白水さんは移住の先駆けとして30年前に色川で自給自足の生活を始めた。山奥の決して恵まれてはいない環境で米、野菜、鶏、乳牛を育てながら家を自分で建て、炭を焼いている。そうした生活を一緒に送らせてもらい特に印象に残ったのが石窯で焼いたパンであった。畑で栽培した小麦を自家製粉し、自家製酵母で発酵させ、自分で作った石窯で焼いたパンはそれまで普通に売られているパンしか食べてこなかった私に強烈なものであった。そもそも自分でパンを焼くこと自体驚いたが、石釜というものの存在すら知らなかったのでなおさらである。そのパンは、小麦の風味と天然酵母で発酵させた独特の酸味、そして石窯で焼き上げた時に燻された香り、そして自分で焼いたという満足感が混ざり合ってとてもおいしいものだった。そしていつか自分も石釜を作ろうと決心した。
我が家にも石窯ができ、農作業の合間を見てパンを焼いたり、ピザパーティーを催したりと少しずつ憧れていたものが形になってきた。これからは小麦で醤油、うどん等広げていき我が家の自給率を上げていくことが目標となる。それ故、小麦の栽培はこれからも続けて行きたい。

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