2012/11/18
●初出荷
どんよりとした鉛色の空が重くのしかかり、雨や霰、時には雷が轟音とともに鳴り響く北陸の冬。今年もいよいよこの時期になった。私には当たり前の天気も千葉から嫁いできたエリナさんには苦痛の始まり。太平洋側から嫁いで来たママ友たちで天気談議で盛りあがることが、ストレス解消。
そしてこの時期いよいよ、合鴨の出荷も始まる。6月、産まれた当日に発送され翌日我が家に届けられたヒヨコ達。クズ米、クズ大豆、野菜くずを食べ、すっかり肉づきも良く食べごろになった。小さい頃には難しかった雄、雌の見分けも体毛が生え変わったおかげで簡単。雄は頭がエメラルドグリーンで大柄。一回り小ぶりで茶褐色なのが雌。大きい肉が取れる雄が飲食店では好まれるが、実は肉質がいいのは雌だそうである。かっては雑草、害虫防除の目的で田んぼに放していたが、現在は食肉用に飼っている。
鴨小屋に入り良さそうなのを物色し狙いを定める。捕まえたら脚に紐をかけ宙吊りにしてナイフで頸動脈を切り血抜き。たいていの鴨はすっかり観念してしまい、どちらかというと哀願するような眼で見られてしまうとこちらもためらいが出てしまう。その点、鶏は、オスなんか特にそうだが鋭いくちばしで攻撃してくるため、こちらも頭に血が上ってくる。さすがティラノサウルスの仲間の子孫の生き残りだけはある、と感心する。
血抜きの後に毛抜き。鶏の場合はお湯につけてからの毛抜きも、合鴨はいきなりむしりはじめる。細かいフワフワした毛が宙を舞うため、頭にはタオルを巻き、マスクを付け、カッパを着て全身フル装備。 順調にいっても約40分の工程。肉体的にも、そして精神的にもキツイ仕事である。