なばたけ農場

なばたけ通信

2012/11/26

●収穫祭開催

連れ合いのエリナさんは何か持っているようだ。いまだかって我が農場の催し事で雨の降ったことはない。そしてほとんど雨降りを覚悟した今回の収穫祭も快晴とは言えないが穏やかな陽気の下、無事開催することができた。この季節に開催する収穫祭がこれまで全て天気に恵まれるというのは奇跡という他ない。太平洋側に住んでおられる方達には想像もつかないだろうがこの時期の日本海側は気が滅入るほど雨降りが続くからだ。

雨は降っていないものの、それでも肌寒さは残る。そうした中おいで下さった方達を赤澤さん夫妻特製鴨汁が体の芯から暖めてくれる。もちろん、なばたけ農場産の野菜と合鴨、そして初収穫されたヒラタケをふんだんに使っての鴨汁である。


ついで身体を使って暖まろうということで餅つきをする。初めての餅つきの子供達のぎこちなさが微笑ましい。最近は餅は買うものであって、家でつくということは農村でも少なくなっている。臼と杵で餅をつくとなるとほぼ絶滅危惧種である。“餅をつく”という言葉が死語になるのも遠い将来ではなさそうだ。

皆が餅をついている間に私は石窯に火をいれてピザ焼きの準備におわれる。この寒さの中自然と石窯の前に人だかりができる。あらかじめこねておいた生地もホイロの中で順調に発酵がすすみ、ピザ焼きの開始。皆自分で生地をのばし、トマトソース、タマネギ、ピーマン、ヒラタケやベーコン、チーズを思い思いにトッピングし、仕上げに塩、オリーブオイルをかけ完成。窯に入れればものの2,3分で焼けてしまう。窯の中で生地が膨らみ、チーズが踊るさまが食欲をかきたてる。本日焼いたピザは32枚。ピザ焼きのコツを確実につかんだ。


そして“取り”をつとめるのは京都の綾部から来てくれた“あじき堂” さんによる手打ち蕎麦。繋ぎなしの十割蕎麦。捏ね鉢の中で玉になった生地がみるみる拡がっていく様は魔法を見ているよう。蕎麦を捏ねる、のばす、切る、すべての工程で安喰さんからは優しいリズムがほとばしっており、見ているこちらも自然と体が動きだす。湯がかれ皿に盛られた蕎麦に冷たい汁がかけられ、大根おろし、刻み葱、鰹節をのせ完成。これがオーソドックスな福井スタイルの“おろしそば”。これを食べるまでは一切口には何も入れないという強者も。鴨汁、餅、ピザを我慢しているのを見ていた私達も安堵する。

子供達は秀くん手製のブランコや稲葉さんが用意してくれたスラックラインに夢中。


おいで下さった皆さんには普段とは違ったゆったりとした田舎の時間、雰囲気を感じていただけたなら幸いである。これからもこうした催しを通じて農業や農的暮らしの豊かさを伝えていきたい。

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