2012/10/ 1
●来年にむけて
稲刈りが終わったからといってのんびりとはしていられない。
十月にはいると小麦の種まきや大豆の収穫が待っているが、そのまえに来年の米作り、大豆栽培にむけて済ませておくことがある。なばたけの大豆作りは“ヘアリーベッチ”という草の種を蒔くことから始まる。これは豆科の植物で土を肥沃にしてくれるすぐれもの。冬を越して暖かくなると旺盛に活動をはじめ、五月には絨毯のように田んぼを覆いつくし、隣りにまでツルを伸ばさぬように気をつかう。ツルをかき分け土を触るとホロホロになっており、いかにも豊かな土でホレボレとしてしまう。このワサワサと育ったヘアリーベッチをすき込むことで大量の有機物が土に供給され、さらに肥えた土になってゆく。このやりかたで六年、化学肥料や農薬を使わなくても安定して大豆を生産できている。また、大豆を収穫した翌年の米つくりは、乾土効果も手伝ってほぼ無肥料栽培である。
そして、この時期に終えたい作業が刈り取りも済んだ田んぼに、農場や近隣の農家から出た米ヌカやクズ大豆を半年以上発酵させて作った肥料をまき土を耕すこと。稲わらなどの有機物を腐熟させるために、微生物が活発に活動する暖かいうちにすます必要がある。機械がないため肥料桶に入れて手でまく。始める前は大変そうだがやり出すとそうでもない。往々にしてよくあることだ。だが、“逆もまたしかり”である。
この作業が終われば米作りは来年の春までひとまず休憩。それまでは今年の反省を踏まえて、来季に向け戦術を練る。