2012/09/10
●新たな課題
今年のなばたけ農場の有機稲作を振り返ると、雑草対策はほぼ成功した。
けれどもこれからの課題として大きく残った 問題は“ニカメイチュウ”という害虫による被害である。
これは蛾の仲間で“ニカメイガ”ともいうが、幼虫が要注意。稲の茎に入り中を食害し稲を枯らす。“ワラムシ”というあだ名を持つゆえんである。当然、枯れた稲はお米を稔らせられず、即減収となる。
左;たわわに実った稲穂。 右;ニカメイチュウの被害にあった稲穂。。。
頭の痛いところは、太い茎の稲を好んで卵を産み中に入ってくることである。
というのは、有機稲作では太いガッチリした苗を作り、その苗を薄く植えることで太い茎の稲を目指すのが基本だからである。メイチュウ達にしてみれば気持ちはわからなくもない。ヒョロヒョロとした細い稲よりも住み心地は良さそう、美味しいものがたべられそう、といったところか?
ニカメイチュウが発生してからでは手の打ちようがない。いかに発生を最小限に食い止めるかが重要になってくる。今考えている対策はまずお米の品種の再検討。今年被害のあった田んぼに植えた品種は“あきさかり”だが、これは“コシヒカリ”よりやや生育が遅く、八月後半から発生してくるニカメイチュウの被害にあう期間がどうしても長くなる。そこで被害が少ないうちに収穫を出来る品種に変えるのが一つ。
次の対策は田んぼの中や周りにカエルやクモなど天敵となる生き物を増やすこと。
こうなれば被害の程度も当然少なくなるであろう。そのためにはカエル、クモなどのすみやすい環境を作る必要があるが、“生き物が集まる田んぼ”をテーマにしている今の栽培方法を、より進化したものにしていくのが大事である。
農薬を使えばいともたやすく解決できる。それではあまりにもつまらない。
あれこれ考えて、それを試し、もちろん失敗することもありガッカリもするが克服した時の達成感は実に爽快だ。これを味わう機会を自ら放棄するのはもったいない。私が有機の米作りに感じる魅力の一つはこれだ。結果も当然大事だが、そこに至るまでの過程を大事にしたい。